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卵巣癌癌性腹水

卵巣癌癌性腹水

女性。前医にて「原発不明の癌性腹水、予後1ヶ月」と診断され来院。前医婦人科で「卵巣癌なし」とされていた。癌性腹水に対する免疫療法 (OK-AIT) による腹水消失後開腹、大腸に浸潤した「卵巣癌肉腫」を切除、更に化学療法を追加し、長期無病生存されましたが、術後11年後、肺、肝、脳、小腸に多発腫瘍を生じ、化学療法無効にて初回術後12年目にお亡くなりになりましたが、腹水再発はありませんでした。図の矢印は腹水を示す。

注:上記の患者様は免疫療法にて容易に腹水が消失しましたが、肝転移のある患者様の中には、腹水中癌細胞が消失しても腹水が貯留する方があります。腹水を抜くことを繰り返すと、血中のタンパクが減少し、更に貯まり易くなりますので、抜去した腹水中のタンパク質を濃縮し、再び静注する方法(腹水濃縮還元:CART)が有用です。当院は器械を常備しており、必要時外来にて実施可能。

癌性腹水の治療

様々な病気に由来する癌性腹水は多種の治療の後に末期症状として出現し、胸水と違って細胞診も陰性になりにくく、一般に治療には難渋します。

しかし、卵巣癌、乳癌の一部には、免疫療法OK-AITへの反応の良い例もあり、CART(腹水濃縮還元法)と併用して、積極的に治療を行っております。

ただし、腹水は長い腸管をうかべておりますので、「癌性腹膜炎」が腸の流れを障害した場合(腸閉塞がおこった場合)はある意味治療の限界となります。

癌性腹水の場合、その意味では化学療法剤、分子標的剤を用いた適切な全身療法の併用が必須のものとなります。