排便時に紙に鮮血が付着する場合の殆どが「内痔核」であり、通常は痛みを伴いません。
排便時に肛門粘膜の脱出を伴う(いわゆる脱肛)際には、脱出時に痛みを伴う場合があります。出血には「硬化療法」が麻酔・痛みなく実施でき有効、軽い脱肛にはこれも麻酔・疼痛のない「痔核結さつ術」が有用です。長期の脱出でくせになっている場合、「痔核切除」が必要ですが、「仙骨麻酔」での外来手術で日帰りにて処置可能です。
出血の原因が「内痔核」のみであるとの確認(外来診察)はぜひ必要です。直腸癌や大腸癌・ポリープが似た症状で潜んでいる場合があり、単に内科の先生に「座薬」をもらい続けないよう注意が必要です。
原因に応じ特徴的な「痛み」があり、原因ごとに処置が異なります。
「痔核の脱出(脱肛)」にともなうもの ― 排便後に脱肛がおこり、指で「還納」できればおさまりますが、自分でおさまらないときは受診が必要です。医師による「還納」後、痔核の浮腫が治まって後、痔核治療を始めます。あわてて手術を急がないのが得策です。
「排便後のしばらく、しみるように痛い」― いわゆる「きれじ(裂肛)」の場合が殆どです。急性の場合、座薬を用い、便秘を治すことで軽快しますが、慢性の場合、麻酔下に筋肉を拡張したり、潰瘍を切除する外科処置が必要です。
「肛門にイボが急に出来、そこが痛い」― 「血栓性外痔核(盲痔核)」で、外痔部分の皮下に血栓(血腫)ができたもので、血腫のみを摘出、外痔核切除、等の外科処置も行われますが、通常放置しても約2週で消失します。
「痛くて座れない、肛門の周りに腫れがある、ときに熱」― 肛門周囲膿瘍(いわゆる「腫れ痔」)です。普通の外科受診では局所麻酔後の切開に始まり、連日のタンポン交換等、痛い処置が続きます。私は仙骨麻酔後の診断後に、切開創部の皮膚部分切除を行い、以後のタンポン処置を不要とします。痛み・通院期間の面で他医との差がきわだつ疾患です。
その他、「痔ろう」等の病気がありますが、その手術も複雑なものでない限り、殆どの場合、「仙骨麻酔」にて実施しますので、殆どの手術が「外来手術」で可能です。